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不死身の漢!

このサイトは私ことジョンが映画、アニメ、ゲームの批評、解説をするサイトです。

全員くせ者? 「エイリアン」シリーズの監督達を解説。その② それぞれのエイリアン像

エイリアン・シリーズ

監督達それぞれの『エイリアン』世界。

今回は『エイリアン』の監督たちの特徴を細かく見ていきたいと思います。が、その前にこれをご覧ください。

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この絵はH・R・ギーガー画集「ネクロノミコン」の中の有名な一枚で1976年に発表された「ネクロノームⅣ」
ギーガーが言うには人間と機械が融合した「バイオメカノイド」だそうです。他に昆虫や性器も合体したように見えます。これがそのまま映画のエイリアンとなります。

『エイリアン』の監督たちはこの絵が生じさせる様々なイメージから映画を作っていったのです。

 

 

リドリー・スコットのエイリアン=リアルSFと心理的(性的)恐怖

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 『エイリアン 

リドリースコットはCMディレクター出身で映像派の人。つまりリアリティがあり、豪華であり、緊迫感があり、美しい画面を作りたいタイプです。彼が作る映画にはB級映画のような安っぽいスカスカの画面は存在しません。
『ブレードランナー』『プロメテウス』『ブラックホーク・ダウン』
どの映画の画面も、非常に密度の濃い映像になっています。
『エイリアン』を見ると、後のスコットの映画に観る要素が詰まっていることがわかります。

しかし『エイリアン』を語る上で外せない人物が、実はリドリー・スコットのほかに二人います。それが脚本のダン・オバノンとデザインのH・R・ギーガーです。
ダン・オバノンは1974年『ダークスター』という低予算のSFコメディを制作しており、今度は『ダークスター』のホラー版を作るということで書いた脚本が『エイリアン』だったのです。エイリアンが「顔に張り付き、幼虫を植え付け、胸から飛び出す」というアイディアは彼が考えたものです。
そしてH・R・ギーガーは元々、『エルトポ』のアレハンドロ・ホドロフスキーを監督として企画が進んでいた『デューン/砂の惑星』でオバノンと共に制作に参加、デザインを担当していました。(映画自体は企画とん挫)その筋でオバノンがギーガーをリドリー・スコットに勧めたのです。
エイリアンファンの常識ですが、エイリアンのデザインは男性器です。そして人間に卵を植え付けるフェイス・ハガーは女性器を元にしています。
女性器が人間の男に「種」を植え付け、男性器の形をした怪物を「出産」し、ヒロインのリプリーを襲うのです。

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デザインは「ネクロノームⅣ」からほとんど変更されず。

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ダン・オバノンいわく「男が口内を犯されて、妊娠する恐怖」とのこと。

 

スコットはこの映画の企画中、ギーガーの描いた『ネクロノームⅣ』を見て即座にこの怪物を映画に出すと決めたそうです。しかも映画用にデザインを変更せず、絶対にこの絵をそのまま映画に出すと決めました。

ギーガーの絵を見て感じた印象をそのまま映画にしたのです。

リドリー・スコット版『エイリアン』は要約すると・・・。

○作りこんだセット、凝った照明にスモークを焚く、後の『ブレードランナー』にも
 通じるスコット特有の密度の高い画面。後の多くの映画に影響を与える。

エイリアンは姿をはっきり見せず、宇宙船内の薄暗い照明の中に輪郭がぼんやりと
 浮かび上がったり、影だけが映ったり、恐ろしい口のクローズアップだけが映る
   ことで逆に恐怖を煽る演出後の多くの映画に影響を与える。

○男性器の頭をしたエイリアンがヒロインを襲う!何か色んな意味を感じさせる。

○リドリー版エイリアンは「美しく、洗練され、性的でそして恐ろしい怪物」

ちなみに1960年代からウーマン・リブ運動が世界に広がり。女性の権利を求めて社会的な戦い、つまり「男性社会に対する女性たちの戦い」が起きていました。その結果、1979年に女性差別撤廃条約が国連で可決されましたが、それはこの映画の公開年度と同じです。性的メタファーであるエイリアンに自立した女性であるリプリーが戦いを挑んで勝利するこの映画がそのことにどれだけ影響を受けてるかは不明です。

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半ケツのリプリーに迫るチンコ頭の影!
こういうところにエイリアンの性的意味が隠されている。

 

ジェームズ・キャメロンのエイリアン=ベトナム戦争

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 『エイリアン2

キャメロンが作った『エイリアン2』は一言で言ってベトナム戦争映画です。彼は『エイリアン2』のインタビューの中で何度もベトナム戦争に触れています。
キャメロンはこの映画の前に『ランボー2怒りの脱出』の脚本も手がけています。かつてベトナムで戦ったランボーは未だトラウマに苦しむ中、ベトナムに取り残されたアメリカ兵を救出するため、ベトナムに戻って戦うというストーリーでした。
『エイリアン2』もトラウマを負ったリプリーが宇宙植民者達を救出するために再びエイリアンの星に戻って戦うというストーリーです。
キャメロンはDVDのコメンタリーで、「リプリーがエイリアンの惑星に戻るのはトラウマを負った兵士が再び戦うことによってトラウマを克服するようなもの」と述べています。

ランボー怒りの脱出 [DVD]
ジェームズ・キャメロン脚本、『ランボー2怒りの脱出』
基本的な話が『エイリアン2』とほとんど同じ。

 

植民地、荒くれ者の海兵隊、エイリアンとのゲリラ戦、湿地帯のようなエイリアンの巣。この映画にはベトナムを連想させる要素で満ちています。キャメロンは10代の頃にベトナム戦争をテレビで見て、ずっとそのことについて考えてきたそうです。

そのことは後のキャメロンの映画に引き継がれ、『ターミネーター』から『アバター』までずっと彼の作品に影響を与えることになります。

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植民地海兵隊のドロップシップ。ベトナム戦争中に使われた機体がモデル。ほとんど同じデザインの機体が『アバター』にも登場する。

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壁から床から海兵隊をゲリラ戦法で攻撃するエイリアン達。

 

 ジェームズ・キャメロン版『エイリアン2』を要約すると・・・。

○ホラー映画から戦争アクション映画にするという大胆な変更。

○ストーリー、映画のデザイン、小道具まで基本的に全てベトナム戦争のメタファーで
 ある。

○キャメロンはミリタリーマニア。よってこの映画に出てくる海兵隊の装備や、劇中の
 描写もキャメロンのマニアぶりが出ている。

○86年当時最高のVFX。特撮スタッフだったキャメロンは『ターミネーター』に続き、
 この映画でも見事な特撮映像を見せ、世界中を驚かせて「SF映画の巨匠」として
 の地位を築く。

映画ファンなら必ず「『エイリアン』は『1』と『2』のどちらが面白いか?」で議論になります。『エイリアン2』はその完成度の高さから、『2』こそシリーズ最高傑作という人が大勢います。普通前作からここまでジャンルを変えると文句も出てきそうなものですが、まさに驚くべき映画といえます。

 

 デヴィッド・フィンチャーのエイリアン=黙示録

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 『エイリアン3 

デヴィッド・フィンチャーはこの『エイリアン3』が初監督作品になります。
この映画にはダークな世界観、冷たい映像、宗教描写、胸にズシンと来る重い結末など、後のフィンチャーの作品に見られる要素が詰まっています。

しかしこの映画は完成度が高いとはいえません。

詳しい説明は長くなるので別の機会に回したいと思います。それくらい『エイリアン3』には様々な批判や裏話があるのです。
批判をひとつだけあげると、前作で助けたニュートとヒックスという二人のキャラを冒頭で殺してしまったことです。『エイリアン3』が「最悪の映画」と呼ばれる理由のほとんどはここにあると言われています。
(しかし、冒頭でいきなりショックを与えるこのシーンがあるために、『エイリアン3』は他のシリーズ作品には無い陰鬱な空気を作り出すことに成功したのも事実です。)

『3』は一言でいえば宗教映画です。舞台はキリスト教原理主義を信奉する囚人たちが管理する刑務所。この映画の中でリプリーはキリストであり、エイリアンは黙示録の獣であり、囚人たちはキリスト(リプリー)の弟子に見えるように設定されています。キリスト教の「予定説」をネットで調べると本作がより理解できると思います。

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四足歩行の犬型エイリアン。より獣のようになる。
天井に張り付いて休んでいるシーンは本当に気持ち悪い。

 

デヴィッド・フィンチャー版『エイリアン3』を要約すると・・・。

○『エイリアン2』のファンは前キャラが皆死んでショック!

○とにかく暗くて陰鬱な世界観。ダークなストーリー。冷たい画面づくり。フィンチャ
 ー節の原点。

○キリスト教的要素を強く押し出したストーリー。キリストと化したリプリーと、悪魔
 として描かれるエイリアン。

○しかしストーリーは行き当たりばったりで強引。

○しかし血しぶきの量はシリーズ最高。

○しかしなんだかんだで『1』からのファンはラストで泣く!

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ヒックス死亡。しかも頭がもげる。

 

ジャン・ピエール・ジュネのエイリアン=おとぎ話?  

エイリアン4 [Blu-ray]
 『エイリアン4

『エイリアン4』も『3』に負けず賛否が分かれている作品です。
個性的を通り越してまるで漫画のような登場人物達達、その登場人物達のギトギトした顔を何度もクローズアップするカメラ、悪趣味なユーモア、醜すぎるニューボーンの描写などが『エイリアン4』の特徴です。

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「醜すぎる!」と非難されたニューボーン・エイリアン。しかし最後には
可哀想と思わせてしまうところがジュネの世界。

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濃い顔のドミニク・ミノンの顔面めがけて全速で疾走していくカメラ。
この映画にはこんなシーンが山ほどある。

 

ジャン・ピエール・ジュネは人形アニメ作家として始まり、『デリカテッセン』、『ロストチルドレン』と一貫して大人向けの暗いファンタジー映画を撮ってきた人で、フランスでは知名度がありましたがアメリカでも日本でも、この時は名前はほとんど知られていませんでした。それでも『ロストチルドレン』の映像センスが見込まれて『エイリアン4』の監督となります。

ジュネは2015年の『天才スピヴェット』のインタビューの中で自身の作風について「孤児がモンスターと戦う物語。怪物がエイリアンであれ精肉店の店長であれ社会そのものであれ同じもの」と述べています。
確かに『エイリアン4』の主人公、クローン再生されたリプリーとアンドロイドのコールは生まれて間もない子供であるともいえます。怪物と人間の中間であるリプリーは世界に絶望しており、人間と機械の中間であるコールは世界に希望を持っています。
そしてエイリアン達はリアルで恐ろしい宇宙生命体ではなく、恐ろしくも感情豊かな怪物たちとして描かれています。
リプリーがエイリアンの巣の上に落ちてしまい、エイリアンの海に沈んでいく姿。そしてニューボーン・エイリアンの出産シーンはSFホラーというよりまるでファンタジーのようです。

ジュネにとって『エイリアン4』も『ロスト・チルドレン』も『デリカテッセン』も『アメリ』も皆同じ映画です。「怪物」と「子供」が出会う物語なのです。

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エイリアンがリプリーを優しく抱きしめて運んでいく、この世のものとは思えない幻想的なシーン。
セックスしてるようにも見えるエロティックさ。

このエイリアンの解釈はギーガーの世界にもっとも近い・・・と思う。もしくは対極。

 

ジャン・ピエール・ジュネ版『エイリアン』を要約すると・・・。

○ケレン味のある映像。度を越した派手な演出。ブラックユーモアの多用などジュネ印の演出。

○シリーズ中もっとも味のあるキャラクターたち。

○オーリガ号の船内世界、感情豊かなエイリアン達、エイリアンの巣の幻想的な描写。グロテスクすぎるクローン失敗作とニューボーンエイリアンなど、まるでファンタジーのような世界観。

○とにかくメチャクチャ。

 

ポール・W・アンダーソンのエイリアン=『エイリアン2』

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 『エイリアンVS.プレデター

ポール・W・アンダーソンは一言で言ってオタクです。日本の監督で『VERSUS』『ルパン三世』を撮った北村龍平という人がいますが、彼にそっくりです。
観た映画を「つまんねー」とハッキリ言い、ジェームズ・キャメロンを信奉し、マトリックス(のカンフーとバレットタイム)が大好きで、好きな映画は『マッドマックス』と『ハイランダー』という、つまりオタクです。

バイオハザード [Blu-ray]
ジェームズ・キャメロンがとうとう好きな映画だと白状した(エロ本じゃねーんだから)
『バイオハザード』。理由はポールの女の趣味がキャメロンと同じだから。
(実際に撮影後ミラと結婚してしまった。)

 

そんな彼は『エイリアン』も『プレデター』も大好き、ですので『AVP』の監督になりました。彼は控えていた『バイオハザード2アポカリプス』の監督を他人に任せて、こっちのほうを選びました。長年『エイリアン』のファンだったポールにとってはこちらのほうが大事だったのです。ポールはこの映画で監督と脚本の両方を務めています。

 ポールにとって最高の『エイリアン』はもちろん尊敬するキャメロンが監督する『2』。ポールはインタビューの中で度々(というかしつこいくらい)「『エイリアン2』は理想的な続編なんだ」と語っています。『バイオハザード』でも主人公のミラ・ジョヴォビッチとミシェル・ロドリゲスは明らかに『エイリアン2』のリプリーとバスケスへのオマージュでした。そうなると当然『AVP』は『エイリアン2』がベースとなります。
『エイリアン』シリーズと話の繋がりをもたせるため、なんと『2』のアンドロイド、ビショップことランス・ヘンリクセンをウェイランド社長として登場させました。
そして『エイリアン2』同様、ホラーではなくアクション重視のストーリーに。そしてやっぱりこの映画にもリプリーとバスケス的な人が登場します。
勿論『プレデター』も忘れていません。南極に謎のピラミッドがあり、実は人類の文明発祥の地であり、それはプレデターが建造したもので、彼らが成人の儀式を行う場所という設定もポールが考えたプレデターの設定です。

ポール・W・アンダーソン版の『エイリアンVSプレデター』を要約すると・・・。

○キャメロンの『エイリアン2』最高!だからアクション映画にするぜ!

 ○『エイリアン』と『プレデター』の設定を俺なりに考察してみたぜ!

 ○PG13だから血が全然出ないぜ!

『AVP』はキャラクター、アクション、ストーリー全てが薄っぺらいせいかファンからは黒歴史扱いされましたが、僕はポールのオタク的なところを知っているのでどうしても憎めないというか、嫌いになれません。

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シュワにもできなかった人類とプレデターの友愛シーン。(ダニー・グローバーは少しできた)
プレデターズ」を作ったロバート・ロドリゲスいわく「俺の映画でこんなシーンは絶対撮らない」

 

ストラウス兄弟のエイリアン=最高の特撮映画

AVP2 エイリアンズVS.プレデター [Blu-ray]
 『AVP2 エイリアンズVS.プレデター

ストラウス兄弟は2015年現在『AVP』と『スカイライン』しか監督していません。
彼らの本職はVFXであり、視覚効果が専門の人たちなので特筆するべき作風はありません。しかし彼らの監督した映画を見ると、彼らが特撮畑の人たちだと一目でわかります。特に『スカイライン』は彼らの特撮へのこだわりが良く分かる作品でした。

タコのような宇宙人、ゴリラのような戦闘生物、イカのような戦闘機などは迫力のあるデザインでした。最後の米軍と宇宙人の空中戦では、映画の予算が8億円とは思えぬ迫力のあるシーンに仕上げました。そしてラスト近く、マンションの屋上で主人公が宇宙怪獣に素手で立ち向かうシーンでは笑いながら、感動した人も多いはず。(俺だけ?)怪獣、特撮映画の夢が込められた映画が『スカイライン』でした。(一応言っておくとストーリーは期待しない方がいいです。)

同じように『AVP』でも特撮者としてのストラウス兄弟のこだわりが感じられます。

例えば、熱画像で見えているというプレデター独特の視界は、オリジナルの『プレデター』では映画が作られた80年代当時の熱画像で、今よりも質素なものでした。しかし前作『AVP』ではプレデターの視界の映像を2000年代の新しい熱画像(より見やすくなっている)へと変更していました。

しかしストラウス兄弟はそれが気に入らず、元の質素な熱画像に戻したのです。
それだけでなく『AVP』ではオリジナルよりも長く設定されていたプレデターのリストブレードを元に戻したり,画面をわざと暗くして、雨をふらせて『エイリアン2』当時の画面を再現したり、音楽もエイリアンとプレデターの楽曲を混ぜたようなオマージュ溢れるものにしたりと、『エイリアン』と『プレデター』双方のオリジナル作品を尊重する姿勢が見られます。

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左が『AVP』、右が『AVP2』。熱画像がオリジナル通りになっているのがわかる。だから何だと言われると困るけど。

 

そして本作最大の特徴は残酷描写です。具体的には腕が取れたり腹が破けたりします。前作がPG13のグロ無しなことが不満だったストラウス兄弟は『AVP2』を本家以上にスプラッターにしました。
そして本作にはエイリアンとプレデターの混合種、プレデリアンも登場します。

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エイリアンとプレデターが融合した究極生命体「プレデリアン」。
その特徴はドレッドヘア。終わり。
あ、あと妊婦に子供を植え付ける能力。それプレデター関係ねぇ・・・。

 

ストラウス兄弟版の『エイリアンVSプレデター2』を要約すると・・・。

○プレデターの新兵器、ガジェット、スプラッターな人体破壊シーンなど、特撮者であるストラウス兄弟のこだわり。

 ○『エイリアン』『プレデター』に対するリスペクト。音楽、映像、小道具すべてがオマージュ。

○エイリアンとプレデターが合体!プレデリアン登場

しかし妊婦の腹が裂けるシーンに代表されるスプラッターがやりすぎだったことと、画面が暗すぎてプレデターとエイリアンが戦っていても見えないし、肝心のプレデリアンも同じ理由で姿がよく見えないため、何がどうすごいのか良くわからないという本末転倒ぶり。問題点が余りに多く、この『AVP2』は前作以上に黒歴史と化してしまったのです。

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暗すぎてマジで何やってるかわからん。

 

最後に。『エイリアン』シリーズに必要なのものとは?

以上が『エイリアン』の監督達です。全員が個性豊かな映画を撮る人ばかりです。
エイリアン一作ごとに映像も雰囲気がガラッと変わりますが、『AVP』シリーズを除いた4作品は全て画面やストーリーに力強さがあります。
映像センスもありますが、最大の理由は監督たちが独自の目線でエイリアンという生き物を解釈したからです。
そもそもH・R・ギーガーが想像したエイリアンはデザインからして抽象的な、もっと言えば何かのメタファーのような存在でした。『2』ではそれをベトナム戦争におけるゲリラ、『3』では悪魔、もしくは道義的「悪」、『4』ではおとぎ話の怪物とそれぞれの目線でエイリアンという生き物に意味づけをして、そこからストーリーを作っているのです。『AVP』シリーズが失敗した最大の理由は『エイリアン』のストーリーや、エイリアンの生体という些末な問題についての解釈に拘ったためです。
ウェイランド社やエイリアンの生体構造がどうこうという問題を真面目に考えても意味はなく、『エイリアン』の面白さとは、スコット監督が言うようにエイリアンの姿から感じる精神的恐怖なのです。

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ギーガーの「ネクロノームⅤ」。エイリアンの神髄はその異形から感じる精神的恐怖にある!

 

『エイリアン』シリーズが毎回新鮮な面白さがあるのは、それぞれの監督達がエイリアンという生き物を通して、彼ら自身のトラウマや恐怖などを表現しているからなのです。

 そして今後はここにニール・ブロムカンプの名が加わることになります。
『エイリアン』新作が本当に楽しみですね。

 

 

ネクロノミコン 1 (パン・エキゾチカ)

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昔はバカ高かったというギーガーの画集も今ではamazonで安く買える。いい時代になったもんだ。

 

 

『 エイリアン』シリーズ解説⇩

huzimi-no-otoko.hatenadiary.jp