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不死身の漢!

このサイトは私ことジョンが映画、アニメ、ゲームの批評、解説をするサイトです。

連載:映画の銃撃戦!第3回『誘拐犯』

映画の銃撃シーン特集!

映画の中の「銃を撃つシーン」が好きだ!
対人間、対動物、対化け物、対宇宙人、相手は誰だって良い!
A級だろうがB級だろうが関係ない!映画の出来不出来も関係ない!

カッコいい銃撃シーンさえあれば良い!

そんなおススメの銃撃戦シーンを紹介する「映画の銃撃戦」特集、第3回は『ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー脚本賞を受賞し、『ミッションインポッシブル・ローグネイション』などで高い評価を持つクリストファー・マッカリー監督の第一回監督作品『誘拐犯』です。

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『誘拐犯』

原題:The Way of the Gun
2000年 アメリカ映画
監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
音楽:ジョー・クレイマー
出演:ベネチオ・デルトロ、ライアン・フィリップ、ジェームズ・カーン

 

「 銃撃戦映画」としてのおススメ度
リアル度    ★★☆
爽快感     ★★★★☆
     

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『誘拐犯』の予告編。特に日本版の予告編はカッコいい。

 

『誘拐犯』紹介

小遣い稼ぎをしながらその日暮らしで生きる二人のアウトロー、ロングボー(ベネチオ・デルトロ)とパーカー(ライアン・フィリップ)。
二人はある大富豪夫婦のための代理母を誘拐して身代金を稼ぐ計画を成功させるが、実はその大富豪は裏社会と通じる人物だった。彼らはロングボーとパーカーを殺害し代理母を取り返すために殺し屋を送り込む・・・。

 

ロングボーとパーカーという主人公の名前は60年代のアメリカ西部劇『明日に向かって撃て!』の主人公ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの本名です。(劇中、バーで互いの本名を教えあうシーンがある)

そう、つまりこの映画は『明日に向かって撃て!』を現代に舞台を置き換えた物語なのです。

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Butch Cassidy and the Sundance Kid (trailer)


 名の知れた犯罪者ではあるものの社会のはぐれ者としてしか生きられない二人のアウトローの人生を描いたこの作品は、カウンターカルチャー(反抗文化)が吹き荒れた60年代に生まれたアメリカン・ニューシネマの代表的な一本です。
今回紹介する『誘拐犯』はこの映画に多大なオマージュを捧げた作品になっています。

強盗犯である主人公二名、西部劇のような全体の雰囲気、銃撃戦など全て『明日に向かって撃て!』をメインにかつての西部劇映画、特に60年代に作られたアメリカンニューシネマの西部劇に影響を受けています。
主人公二人のホモセクシャルを匂わせる関係なども『明日に向かって撃て!』と同様です。

監督は2015年の『ミッション・インポッシブル ローグネイション』で大ヒット監督の仲間入りを果たしたクリストファー・マッカリー。
親友に『X-メン』のブライアン・シンガー監督がおり、彼の初監督作品『パブリックアクセス』の脚本でサンダンス映画祭最高賞を受賞。その後、あの『ユージュアル・サスペクツ』の脚本を書きこの映画でアカデミー脚本賞を受賞しました。
マッカリーは70年代の骨太映画が好みの人で、自身を「アンチハリウッド的」な人間だと豪語していますが、実際にこの人が監督した作品の『アウトロー』と、この『誘拐犯』を見るとそのことがよくわかります。

インターネット・ムービーデータベースによるとマッカリー監督の弟が海軍特殊部隊の隊員であることから(!)彼に登場人物たちの銃器指導を依頼しており、リアルなツーマンセルによるCQB(近接戦闘)を見ることができます。

 

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二組のロングボーとパーカー。上が『明日に向かって撃て』、下が『誘拐犯』

 

 

 

『誘拐犯』の銃撃戦。

この映画の劇中三回行われる銃撃戦はガンマニアにとっての見ものになっています。銃へのフェチズムを感じるほどのこだわり、特にガバメントとショットガンに対する愛情を感じます。

『誘拐犯』の銃撃戦はこの頃流行っていたマイケル・ベイ式の派手な銃撃戦ではなく、しっかりと落ち着いて撮られた銃撃戦となっていて、このあたりも70年代のアクション映画の影響を感じます。こういう映画の銃撃戦は一見地味ですが、カメラワークや、敵・味方の位置関係、銃撃戦の展開の仕方などよく見れば非常に凝った作りであることがわかるはずです。

 

〇MOVE!、MOVING!

まず主人公ロングボーとパーカーがボディガードに守られたヒロインの妊婦を誘拐する序盤のシーン。序盤からこだわりのシーンが始まります。
ヒロインを人質にする主人公二名がボディーガードをけん制しながら、互いにカバーを繰り返してその場から脱出を図ります。

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「MOVE!」「MOVEING!」
互いに援護と移動を繰り返す面白いシーン。


駐車場に出てからの銃撃戦もショットガンがジャムを起こし、詰まった薬きょうを排莢数するたといった細かい演出(本当にジャムったのかも)がなされています。
ちなみにここで通行人をバンバン巻き添えになり(よく見ると女の人も死んでる)、主人公たちが人の死も気にしない完全な悪党であることがわかります。
この時点で倫理的に引っかかる人もいると思いますが、これもまた60年、70年代にあった過激なアメリカンニューシネマ、『ワイルドバンチ』『明日に向かって撃て』など無軌道な暴力を描いた作品の影響なのです。

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ショットガンを連射!通行人もバンバン巻き込む!

 

〇世界一遅いカーチェイス
無事現場から逃げ出した主人公達がボディーガードに追われますが、派手なチェイスが始まると思いきや、主人公達はいきなり車を急停止、ノロノロと走り始めます。
そこから監督がDVDのコメンタリーの中で「世界一遅い」と豪語するカーチェイスが始まります。
これは数あるアクション映画の中でも指折りの奇妙なシーンでしょう。

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止まっては撃つを繰り返す奇妙なカーチェイス。

 

〇ラストの大銃撃戦。

ラスト、メキシコの売春宿を舞台にジェームズ・カーン演じる殺し屋と彼が率いる「老人殺し屋軍団」が主人公たちと大銃撃戦を繰り広げます。このシーンはこの映画最大の見せ場となっており、マッカリー監督の銃へのこだわりが存分に堪能できます。
最初に主人公達二人が売春宿の中をリアルなツーマンセルで進んでいくシーンは上述したようにマッカリー監督の弟が軍事指導しているようです。

さて、登場する銃の紹介ですがロングボーが使用するのはIMI社の7.62ミリのガリル自動小銃。ガリルとはイスラエル軍採用のアサルトライフルで栓抜きが銃に付いていることでも有名。
パーカーが使用するのはショットガンのレミントンM870、マガジンチューブが延長されているバージョン。
そして二人共サイドアームにM1911コルトガバメントを装備しています。

銃弾の威力の描写もこだわっており、ガリルの発射する7.62ミリの強力な弾丸で壁を貫通させて敵を攻撃するというシーンもあります。

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ICS GALIL AR AEG (JP Ver.)

ICS GALIL AR AEG (JP Ver.)

 

 

M870 エアコッキング ショットガン フィックスドストック

 

No5 コルトM1911A1ガバメント (10歳以上エアーHOPハンドガン)

No5 コルトM1911A1ガバメント (10歳以上エアーHOPハンドガン)

No5 コルトM1911A1ガバメント (10歳以上エアーHOPハンドガン)

 

 

 

主人公たちを追いかける凄腕だけど老いぼれの殺し屋ジョーが使うのはスミス&ウェッソンのモデル640。シブい。

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この映画の銃撃戦のこだわりのひとつに「リロード」の執拗な描写があります。『明日に向かって撃て』ではサンダンスキッドが銃弾が飛び交う中何度もリロードしますが、この映画の中でも銃撃戦の中で行われる弾丸の装填とそこから生まれる焦りと緊張感まで細かに描いています。
ロングボー(ベネチオ・デルトロ)の素早い「片腕リロード」はこの映画の見ものです。

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右腕を負傷したので左手だけで起用にマガジンを交換する。抜群にカッコいいシーン。


ちなみにこのシーン自体が『明日に向かって撃て』のラストの大銃撃戦をオマージュしていますが、実はこの場所が『明日に向かって撃て』のラストとロケ地が同じという話をネット上で聞いたのですが、本当にそうなんでしょうか?

誰か知ってる人がいたらコメント欄などで連絡をいただけると幸いです。

 

非常に奇妙な映画ではありますが、マッカリー監督の非凡さと、西部劇、そして銃に対するこだわりが存分に感じられる作品ですので、おススメの作品です。

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www.youtube.com
『誘拐犯』のめちゃくちゃカッコいいエンディング曲。
作曲家のジョー・クレイマーはマッカリー監督の『アウトロー』『ミッションインポッシブル』も担当。



登場する銃器
〇ハンドガン
コルトM1911ガバメント(正確にはコルトマークⅣシリーズ70)
コルトコマンダー
H&K USP
ワルサーPPK
ブローニングハイパワー
タウルス モデル85
S&W モデル640

〇アサルトライフル
IMI ガリルARM

〇ショットガン
レミントンM870
モスバーグ590
モスバーグ500AT
IGA ダブルバレルショットガン

 

 

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 マッカリー監督が2012年に12年ぶりに監督した作品。
一般的な評価は高くないが70年代映画の魅力がわかる人には最高の一作。

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